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こんにちは、しょうへいです。
さて、早速ですがTOEIC L&Rのスコアは何点をお持ちですか?
TOEICは800点以上を取得すると就職で有利だ、という情報はインターネット上にごまんとありますし、僕が勤務してきた企業でもTOEICスコア800点以上からは周囲の方々の見方は変わるのを感じてきました。
では、実際、TOEIC800点以上を取得した後は何をしていますか?
本記事の内容
- TOEIC L&Rで800点以上を取得したらspeaking力を上げる段階に移ろう
読者
- TOEIC L&Rで800点以上は取得してある方
- TOEIC L&Rで800点以上を目指している方
- 英文科卒の方、英語圏へ留学経験のある方
参考資料・情報
- 英語活用実態調査
- TOEIC L&R 公開テスト 平均スコア・スコア分布一覧
- 英語を必要とする東京の企業で勤務した僕の実体験
筆者プロフィール
TOEIC L&Rは最高870点、最新840点です。
要点
- speakingができるかどうかが差別化になる
- 企業が求めているのはspeaking”も”できる人材
TOEIC L&R 800点は錯覚資産?
800点以上をお持ちですか?
見栄えが良いですし、周囲の方々から「すご〜い」「かっこいい」なんて言ってもらえませんか?
実際、どれくらいすごいのでしょうか。第245回(2019年11月)のTOEIC L&R公開テストのスコアを見てみると分かります。この回の受験者数は87,608人です。
*平均スコア・スコア分布 詳細 (第245回)より、グラフは筆者作成。横がスコア、縦が人数。
点数と全体の上位何%に当たるかは下記の通りです。
- 745点〜:上位20%
- 795点〜:上位13%
- 845点〜:上位7%
- 895点〜:上位3%
2019年に実施された他の9回のTOEIC L&R公開テストのスコアを見ても、だいたい上記の割合になります。つまり、800点を持っていればあなたはTOEIC L&Rの受験者の上位13%以内のレベルには属していると言えます。
良い響きですよね。
では、そのTOEIC L&R 800点はあなたがどのくらい英会話ができるかを証明してくれますか?
分からないですよね。
TOEICのスコアと実際に使う英語力は比例しない、というのはよく指摘される点です。確かにTOEIC L&Rはspeakingの力を計るテストでは無いので、スコアが高くても日常英会話はうまくできないという方はいらっしゃいます。スコアが400点台でも饒舌な方はいらっしゃいます。よくある話です。
実際、今日の企業が求めているのは「TOEIC L&R 800点」ではなく「英語で議論もできる」人材であることが調査結果で判明しています。
企業が求めているのはspeaking”も”できる英語力
「英語活用実態調査 企業・団体 ビジネスパーソン2019」 を見てみます。
この資料は、IIBC(一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会)が公表している調査結果です。PDFで誰でも閲覧できます。
企業・団体調査
PDF4ページ目の「企業・団体が考える重要なスキルと不足しているスキル」では二つの質問がされています。
- 今後のビジネスパーソンにとって重要な知識やスキル(複数回答)
- 社員や職員に不足している・今後強化する必要がある知識やスキル(複数回答)
この調査では、回答傾向は下記のようにまとめられています。
上記2つのアンケート結果から、「英語」は、今後のビジネスパーソンにとって重要なスキルであり、現状では「不足しており、強化したい」スキルでもあるといえる。
さらに「企業・団体が目標とする英語のスキルの水準(最も近いものを1つ)」で最も多かった回答は「英語で行われる会議(テレカンを含む)で議論できる」でした。
つまり、「英語でも議論ができるレベルの人材が特に足りていない」と捉えることができます。論理的思考力などなども含めspeakingの力ですね。
しょうへいメモ
インターネット上では「TOEIC800点が重要」という情報だけが一人歩きしてしまっている一面もありますが、結局、採用する会社の視点から見れば語学力がある人を採用する方がコスパが良いんですよね。語学力がある人を採用して会社の製品知識や営業ノウハウなどを身につけてもらう方がより短時間で戦力にしやすいのです。企業はもうのんびりと待っていられないのです。社内で育てる時間が減った分、そのお金が僕らの給料に反映されるかは要チェックです。
TOEIC L&Rで800点以上を取得済みなら「話す力」を磨け
この記事の要点です。
英語で会話ができるように練習をたくさんしましょう!
TOEIC800点以上の人材を歓迎する企業には、高得点所有者が多いでしょうし似たような人材の応募も多いでしょう。TOEIC800点以上が多い業界や会社では、「話す力」が社員の英語力を区別する1つの境界線になると思われます。
そして、僕も含めネイティブ(英語母語話者)ではない人は、この「話す力」を高める勉強時間を確保し続けられるかが差です。
先ほどのIIBCの調査結果を見てみましょう。次はビジネスパーソンから得た結果です。
ビジネスパーソン調査
PDFの10ページでは、ビジネスパーソンの普段の英語の学習状況がまとまられています。普段、英語を学習していると回答した方は466人中の39.9%に当たる186人でした。調査対象者の半数未満です。
学習時間
さらに、その内TOEIC L&Rスコアが800点以上の60人の1週間の学習時間の調査結果が面白いです。回答が多い順に記載します。
800点以上(回答者60人)
- 1時間未満:23.3%
- 10時間以上:20.0%
- 5時間以上10時間未満:18.3%
- 1時間以上2時間未満:15.0%
- 3時間以上4時間未満:11.7%
- 2時間以上3時間未満:8.3%
- 4時間以上5時間未満:3.3%
上位1位と2位が真逆ですね。殆どやらないかやりまくっているか、です。仕事以外の時間で10時間以上勉強し続けている人が60人中の20%(12人)とは、鬼ですね。
各点数の回答者が同じ人数ではありませんが、1週間の英語の学習時間が1時間未満は必ず上位に入ります。どの得点層でも、やらない人・やれない人は20%以上はいらっしゃるようです。
英語の学習方法
続いて、英語の学習方法に関する回答です(PDFの11ページ)。
TOEIC L&R800点以上を取得している回答者はその他の点数取得回答者と比較すると、「英語の映画・動画」「英語の新聞や雑誌、WEBサイトを読む」「Skype英会話」などの割合が高いのです。調査結果の中では「”生”の英語を活用する傾向」とまとめられています。600点未満は「CDなどの英会話教材」を利用した「講座や教材などを活用する傾向」となっています。
TOEIC L&R800点以上の回答者の学習状況を見ると、やはり、英会話力の向上に繋がりやすい学習に時間を使っていることが分かります。
彼らのようなスタイルはまさに今日の企業が求めている英語力に近いと言えるでしょう。需要と供給の点ではマッチしますね。英語で会話や議論ができる英語力を身につけて維持するために多くの時間を彼らは日々費やしています。
しょうへいメモ
語学において、普段から学習する人としない人の差は大きいです。
社会人になってから学習をサボっていた僕も経験していますが、言葉は、使わないと落ちます。特に耳(Listening)から…本当に…普段から取り入れないと落ちます。Use it or lose itの世界です。
ここで必要になるのが「時間」です。
そもそも現時点で、毎日1時間、自分のために使える時間はありますか?仕事をして、家事をして、子供を寝かしつける。正直、これで1日なんて終わっちゃいますよね。
別の何かをしない、もしくは、その時間を減らさないと新しい時間は作れないんですよね。時間は有限なので。
語学は、勉強し続けられるか・使い続けられるかの「生き残り戦」です。優先順位をつけて、取捨選択し、継続する。これをするだけでライバル達と差がつきます。事実、IIBCの調査結果からも1週間の学習時間が1時間未満の人は一定数いるのです。
まずは時間作りです。
余談 -個人的見解-
第245回(2019年11月)のTOEIC L&R公開テストのスコアを参考に800点は受験者の上位13%に属すると書きましたが、今後、TOEIC800点自体は今ほど評価されなくなると個人的に思います。
理由は、TOEIC800点人材自体はいずれ飽和するであろうからです。TOEIC L&R 800点という現状・錯覚資産は目指す人も多いですし取得すればその点数の有効期限はありません(公式認定証の発行は2年以内)。
その為、点数を取得している人の数自体は今後も増えるはずです。TOEIC800点当たり前人材市場が出来上がれば、speakingの力を含め別のスキルによる差別化が必要になります。資格としては900点を求められるのか、TOEIC L&RとS&Wのセットのようなもので要求されるのか、はたまた、今のTOEIC以外で汎用的な英語の資格が広まるのかもしれません。
まとめ
TOEIC L&Rで800点以上を取得したらspeaking力を上げる段階に移るべし。
高得点は取得できていますし英語の基礎は固まっていると言えます。企業から欲しがられるスキルを再度確認しましょう。
- 現状、TOEIC L&R 800点は見栄えのいい資産
- 求められているのはspeakingもできる英語力
- 800点以上を取得済みなら英語で話し慣れよう
大事なのは、日々、英語の学習に時間を充てられるかどうかです。
speakingの練習教材として、スマホでも見られる動画配信サービスは21世紀のおすすめです。アメリカのドラマなどを教材としてどんどんモノマネしましょう。