この記事を読むのに必要な時間は約 17 分です。
「英文科に行ったら英語ペラペラになれる?」
「TOEICで何点とれば就職に有利になるの?」
僕は4年制大学の英文科を卒業したのでこういった質問をよく受けます。高校3年生の時に特に英語以外に好きなこともなかったから英文科を選んだというこんな僕ですが、大学の英文科は行く価値があるのか記事にしました。
進路を考える高校生と親御さん向けの記事となっています。
本記事の内容とわかること
- 英文科を選ぶ価値ある?
- Speakingが差別化を作る
筆者プロフィール
英文科を選ぶ男って少数派なので我ながら貴重な記事だと自負しています。首都圏の4年制私立大学を卒業後、商社とメーカーで勤務しました。貿易の仕事。
参考ブログ記事
- natively、【翻訳屋の本音】ぶっちゃけ「英文科」って行く意味あるの?
想定する読者
本記事は大学の英文科へ進学しようか考えている受験生(主に高校生)と親御さんに向けた記事にしています。
高校生
きっとこんな感じじゃないですかね?「高校までの英語の授業は受けたけど使いこなすレベルまでではない、だけど、もっと上手くなりたい。」僕も高校3年生当時はこんな感じでした。明確にやりたいことなんてなかったです、自分のことよくわかってないですし。
高校生の親
親御さんの目線では「稼ぎにつながるのか?」「学費はどのくらいかかるか?」といったお金絡みの疑問が多いでしょう。先に申し上げますが、日本で大学進学をする時点でお金は400万円近くはかかります。しかも大学の授業料は年々上がっています。
僕が高校3年生(2007年度、平成19年度)のとき、首都圏4年制私立大学の英文科の1年間の授業料は約90万円が平均的でした。2021年(令和3年)現在では約100万円です。これからも授業料は増加するでしょう。
僕の自己紹介
高校3年生当時
今でこそ海外滞在するサイドFIREなんて名乗っている僕ですが、17歳や18歳のときを振り返るとそんな人生を予想していたわけでは全然ないんですよねえ。
- 17歳、18歳の段階で「これだ!」って感じるものはなかった
- やりたいことが分からないので大学に行って決めさせてください
- 英語は好きだけど、海外に行ったことなんてないしパスポートも持っていないし
- やりたいことを選べなんて言われても何がやりたいのか何が好きなのかなんてよく分からないよ
大学受験状況
当時通っていた高校では推薦入試で大学進学を決めるクラスメートが多く、僕のように一般受験を選ぶ友達は1クラスで5人いるかいないかくらいでした。
補足すると、僕も推薦入試の話は担任の先生からいくつか提案されていました。その中には第1志望の大学もありましたが学科が英文科ではないので辞退して一般受験を選びました。その一方、僕が嫌いだった(頭も性格もマジでアホな)やつらが推薦枠をもらって大学に進学を決めていました。大学に行ければもうOKって雰囲気でしたね。
とりあえず、こんな感じで僕は受験勉強をしながら高校3年生を過ごしていました。その後の学歴や職歴はプロフィールからどうぞ。
大学英文科と民間企業
文学や研究がベース
2008年から2012年まで大学生だった僕の経験から言うと、「大学で外国語を学ぶこと」は文学やその言語の研究をすることに重きを置くことだと感じました。職業訓練校ではないということです。
もちろん英会話練習のような授業はありますよ。言いたいのは比率の話です。「文学・研究としての英語」と「実践的なコミュニケーションとしての英語」の比率です。英文科を専攻しても、比較的、文学や研究寄りの授業が多いのが一般的だと思います。
ここで世間との温度差を指摘させてもらいます。「文学・研究としての英語」と「実践的なコミュニケーションとしての英語」の比率についてです。
英語の需要と供給
大学は「文学・研究としての英語」に寄っている。一般企業の求人では「実践的なコミュニケーションとしての英語」を求められる。「実践的なコミュニケーションとしての英語」という需要に対して「文学・研究としての英語」を供給するとミスマッチが生まれます。
※類似の図は参考にしたブログ記事 natively【翻訳屋の本音】ぶっちゃけ「英文科」って行く意味あるの?でも紹介されています。
これはあくまでも一般的な例です。しかし民間企業の求人の募集要項に「英会話できる人材歓迎」はあっても「文学できる人材歓迎」は99%ありません。企業が欲しいのは基礎と英会話力がある人材、大学ではなく英会話教室で間に合うスキルかもしれませんね。
首都圏私立大学の学費
首都圏の私立大学の学費をご紹介します。ここで挙げている金額は、昼間授業・英文科や外国語学科・2021年10月現在の最新情報をもとにしています。2021年度や2022年度の学費と捉えてください。偏差値ごとにグループ分けしていますのでどうぞ。
早慶上
※単位:万円
MARCHG
※単位:万円
参照:明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学、学習院大学
成成明学獨國武
※単位:万円
参照:成蹊学園、成城大学、明治学院大学、獨協大学、國學院大學、武蔵大学
日東駒専
※単位:万円
大東亜帝国
※単位:万円
※国士舘大学は英文科・外国語学科に該当する学科がないため空欄。
これから大学に通う人は先輩たちと単純比較すると、新卒一括採用で就職した場合、同じくらいの給与(収入)を稼ぐために支払う学費(経費)が増えることになります。つまりコスパが悪くなっている傾向にあります。
大学の授業料は年々上がっているのに日本の民間企業の給与は上がっていません。むしろ、むさぼり取られる税金が増えているので働く世代の手取り額は減っているのが実情です。また優れた教授たちが優れた先生・指導者とは限りません。夢や期待を膨らまし過ぎないでくださいね。
このような状況であっても英文科に行く価値はあるのかどうか。僕はあると思います。
英文科に行く意味はあるか?
Shoheyの考え
英文科に行く意味はあると思います。その理由と条件は下記の通りです。
- 理由:大卒の肩書きが取得できる
- 条件:Speaking + TOEIC800点取得
この状態にまでレベルアップするのであれば英文科に行く価値はあると思います。
理由と差別化
もし在学中にSpeakingに慣れてTOEIC800点取得を達成できるなら英文科に行く価値はあると僕は考えます。その理由は、「平均的な日本人よりも少し優秀に見える」からです。
商社とメーカーで約6年働いた僕の経験から言います。会社では英語の読み書きで個々人のスキルの差は目立ちません。対照的に、会議や出張など対面での英語スキルでは差が見えやすいです。つまり、SpeakingとListeningの差です。
民間企業では依然として英語は必須スキル扱いです。大抵の日本人があまり上手くできない英会話をあなたが上手くやれるなら立派な違いです。そしてTOEIC800点取得は良い錯覚資産として使えます。
僕の場合、英語を勉強しておいたおかげで商社時代の上司に仕事パフォーマンスを現実以上に評価されていたと思います(下記のグラフ参照)。体験談は別記事にありますのでどうぞ。
なお語学は勝ち残り戦ではなく生き残り戦です。10代ですごい人でも、練習をし続けなければ落ちます。外国語は“Use it or lose it”の世界ですので、音読の練習は就職してからも続けるべしです。
働き出すと「英語ができる」ではなく「英語で〇〇ができる」が確実に求められます。基礎英語力を身につけつつ「英語で〇〇」を意識しましょう。
Shoheyの提案
語学留学
Speakingができて、TOEIC800点取得ができれば立派な錯覚資産になり英文科を専攻する価値はあると僕は考えます。しかし日本の大学で4年間授業を受けてもここまでなる人は少数派です。残念ながら英文科を選ぶだけでは足りないんです。
そこで、僕が提案するのは語学留学です。半年〜1年くらい英語圏で猛勉強をすればSpeakingにも慣れてTOEIC800点も取得しやすくなるはずです。なお僕はアメリカに5ヶ月間の語学留学をしました。
Speakingに慣れるには日本の大学の授業のインプット・アウトプットでは圧倒的に量が足りないです。僕の主観ですが、日本での4年間の授業よりもアメリカでの5ヶ月間の語学学校のほうがコミュニケーションとしての英語力は上がりました。また滞在3ヶ月目からListeningが飛躍的に良くなります。留学経験者はみんな共感するはずです。
(わかりやすさ重視のため大袈裟に書きましたが)上記グラフのように、SpeakingとListeningが格段に上がるので日本にいる日本人との差が生まれます。非英語圏の日本で英語だけの環境は作れないので、このブレイクスルーを経験するのは無理だと思います。だから留学をするんです。
注意点
Speakingを伸ばすためにも留学をおすすめしますが、注意点としては追加のお金がかかることです。僕は5ヶ月のアメリカ語学留学で100万円以上は使っています(授業料で約60万円、ホームステイ費で約30万円)。
留学プログラムが充実している大学に進学すれば、留学先で取得した単位を日本の大学での単位として扱えるので卒業時期に影響はないはずです。
日本の大学で計400万円、追加で留学費用100万円〜、合計すると最低でも500万円以上の授業料がかかります。もちろん例外はあります。1年間の留学プログラムでは、日本の大学費用を免除して現地の授業料だけで済む場合もあります。
解決策
受験生
学生ローンが必須だと思ってもらっていいと思います。借金をして大学に行くということです。「奨学金」という名前が使われていますが、返済する必要のある奨学金というのは実態は学生ローンです。
生活保健文化センターの「奨学金を受けている学生の割合はどれくらい?」の記事(日本学生支援機構の平成30年度の調査)によると、大学生の約半数が奨学金(学生ローン)を借りています。
高校生の親
親御さんはお子さんが留学を望むなら、全額ではなくとも費用を負担してあげたいと思うでしょう。定期預金の金利がほとんどないこのご時世では貯金だけで全てを貯めるのは厳しいです。積み立て投資をおすすめします。「貯める」だけではなく「増やす」です。
お子さんが留学直前ではタイミングが遅いですが、お子さんが小さいうちから学費を貯めます。例えば、学費を毎月1万円ずつ貯めている場合、その1万円で投資信託を買って運用するんです。
収入が多くないまたは平均的収入の家庭であれば、なおさら早めに積み立て投資で学費を用意するのが良いでしょう。稼ぎだけではエリートサラリーマン家庭にはかないませんからね。積立投資の参考として、僕のつみたてNISAの記事をどうぞ。
投資的目線
「大卒の学歴」と「英語力」の二つが500万円以上のお金をかけて得られるものです。この二つで将来500万円以上のリターンが果たしてあるのか?僕はあると思います。
日本の企業では形骸化した大卒にいまだに拘っていますが、日本以外の国でも、大卒が求人の条件にされることは多々あります。また、日本人以外と、日本企業以外と、日本以外とビジネスをすることはもっと当たり前になるはずです。
英語力だけのままでは行き詰まるかもしれませんが、それなりの英語が最低限できていれば世界中の労働市場では生き残りやすいです。それなら、500万円以上のリターンがある可能性が高いので良い投資と僕は信じています。
その代わり、平均的な日本人以上の英語力(資格も実力も)身につけることが条件ですからね!サークルで飲んだくれて遊び呆けてた奴らは勝手に堕ちましたからね笑
英文科卒のShoheyの実績
実例として、英文科を専攻した僕の大学入学時と卒業時の英語力の変化をご紹介します。大学時代の僕の英語力を示せるのは英検とTOEICだけなのでスコアをご紹介します。
入学時 | 卒業時 | |
英検 | (確か4級…) | 準1級 |
TOEIC | 455点 | 870点 |
※TOEICスコア推移。縦の数字が点数、横の数字が年齢です。
僕の大学の英文科卒業後の進路は、民間企業への就職が8割で教職員が2割くらいでした。プロの通訳者や翻訳者、研究者を目指す人は学科で1人か2人くらいでかなり稀。やはりコミュニケーションとしての英語で使う人の方が多いのが実情かと。
まとめ:英文科に行く意味はある
平均的な日本人(日本在住者)は英語に不慣れでSpeakingを使う対面での英語力が低いのが実情です。英語を使う機会がほとんどないから当然です。
大卒の肩書を手に入れ、Speaking(スキル)とTOEIC800点(資格)を取得すれば平均よりも十分優れて見えます。この錯覚資産は2021年現在の日本でもまだ通用するはずです。
本記事でも紹介した錯覚資産はふろむださんの書籍で紹介されています。自己啓発本をたくさん読み漁らないでこれだけ読めば良いやってなりました笑
このブログで紹介している書籍の一覧はこちらにまとめてあります。掲載しているのはおすすめできると感じたものに絞っています。