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こんにちは、しょうへいです。
海外企業とのビジネスではほぼ必ず必要になる翻訳作業。英語をはじめとした外国語を身につけている会社員であれば経験があるのではないでしょうか。
本記事の内容
- 翻訳担当をする会社員の悩みと解決案
ネット上の声や同僚、知人、僕自身の体験談も交えた内容になっています。尚、この記事の中での解決案は、会社員として翻訳担当をした経験のある僕が素人目線で作った提案です。絶対解ではないのであらかじめご了承ください。
定義
- プロ翻訳者ではなく、企業で雇用されている一般社員が翻訳をする際の悩みを前提にしています。当記事では彼らを「翻訳担当者」や「翻訳担当会社員」と表現します
前提
- 翻訳作業をする社員は複数人いる
- 翻訳担当者は専従翻訳者ではなく、普段は翻訳以外の仕事がメイン
備考
- 筆者や同僚の英日・日英翻訳の経験を多く参考にしています
- 「翻訳の練習をないがしろにしないでほしい」というプロ翻訳者さんからご指摘があるかもしれませんが、翻訳作業が中心業務ではない会社員を前提としています。そのため、翻訳スキルの向上の優先度を下げています。ご容赦ください
- 「翻訳」ではなく「文字変換」レベルの話では?というご指摘もあるかと思いますが、一般的な企業内でのことなので「翻訳」という言葉を使用します
筆者プロフィール
会社で英語を使うなら通訳よりも翻訳の方が多いはずです。資料、メールなど。やたらspeaking自慢するよりも、しっかりとした基礎の読み・書きができる方が実用的です。
翻訳担当会社員の悩み
悩み
- 翻訳後に依頼人が翻訳内容をチェックしてくれない
- 通常業務に加えて残業をする前提で翻訳作業をすることになる
- 翻訳する人によって訳し方が異なり、会社の中で統一性がない
- 自分のデスクで作業すると周りから声をかけられて集中できない
- 社内の用語集ってどこに保存してあるの?というか、用語集ってあるの?
- 日本語と基礎英語は使えるけど、製品や訳す内容に精通している訳ではない
翻訳担当者なら一度は経験があるのではないでしょうか。
そもそも何故このような悩みが生まれるのか、これらの悩みは連鎖反応的なところがあります。以下、悩む職場の現状の例です。
悩み発生の例
- 海外取引先企業から新しい英文資料10ページ分が管理職宛に届いた
- 来週末までに和訳を完成させ、日本語で社内共有する必要がある
- 管理職は知識が豊富だが、英語力は高くない、且つ、自分で翻訳する時間はない
- 管理職は「英語ができる」部下Aに翻訳作業を依頼する
- 「英語ができる」部下Aは通常業務に加えて翻訳作業を行う
- 「英語ができる」翻訳担当の部下Aは残業時間に入ってから翻訳作業を始める
- 翻訳担当者Aは英語レベルは高いが、資料の内容に詳しい訳ではない
- 翻訳担当者Aは内容を理解するために調べ物をしながら翻訳をし始めた
- 管理職は「英語ができる」別の部下Bにも翻訳作業の一部を依頼する
- 翻訳担当者Bは残業時間に入ってから翻訳作業を始める
- 翻訳担当者Bは用語集があることを知らないし、資料の内容に詳しくはない
- 翻訳担当者AとBとの間で和訳の表現が異なる
- 翻訳担当者AとBとの席には同僚や管理職が別案件に関して質問してくる
- 翻訳担当者AとBは毎日残業時間で翻訳作業を続ける
- 翻訳担当者AとBは和訳が完了した資料を管理職へ渡したが、管理職は忙しく、内容確認をする時間が作れなかったので、2日放置した後に資料をそのまま社内共有することにした
- 翻訳担当者AとBの翻訳評価は管理職からは特になく、管理職は次の仕事を振ろうと思っているが翻訳担当をしたAとBの合計残業時間が気になっている
いかがですか、会社の中ではだいたいこのような流れではないでしょうか?
翻訳担当者が抱える悩みの原因は一つではないことはお分かりだと思います。翻訳会社へ翻訳作業を外注する考えが社内にはないので、結局、現状維持になるという状態です…。
解決案
今後も翻訳作業を社員が行うという前提で、(一般社員目線の)僕が作る解決案は下記の通りです。
解決案
一般社員(翻訳担当者)
- 基礎英語の練習とその仕事関連の英語のインプット
- 製品や業界など翻訳内容となる知識のインプット
語学力は使わないと落ちるので日々使うことが絶対です。use it or lose itです。その上で、仕事関連のニュースや資料を普段から読んで仕事上で使えるボキャビュラリーを蓄え翻訳作業時に備えておくのが必要です。言葉と知識の二つはセットです。早い話、「どれだけ普段から関連情報を浴びているか」です。
管理職(依頼人)
- 基礎英語の練習
- 翻訳された内容の確認
(包括的な知識量は管理職の方があるという前提で)基礎英語を使える状態ではいてほしいです。依頼したのなら翻訳内容も確認は必ずセットで行ってくださいね。背景知識が多くない社員が翻訳していると文字面だけを変換したような文になりやすいので…。
会社全体
- 翻訳支援ツールを導入する
- 黙々と作業しやすい空間作りをする(広めの共有スペースなど)
エクセルで用語集を作って社内翻訳資料を蓄えている会社はあると思いますが、クラウド型の翻訳支援ツールの導入などを本気で検討してみてはいかがでしょうか?実際、翻訳作業は翻訳自体の時間よりも社内に前例訳はあるかなどの下調べの時間の方がかかります。複数人の翻訳担当者が一つの資料を分担して訳す場合は、一定の表現の統一性も必要です。そういった過去例や一定のルールなどの蓄積をクラウド型のツール利用で解消できるはずです。作業時間が減れば、残業時間が減って残業代も減らせます。無料トライアルを提供している翻訳支援ツールメーカーもあります。
など
また、デスク以外で作業できるスペースを設けてもらえるととても嬉しいです。一人で集中したい時もありますし、気分変えたいときもあるので笑 立ちながらパソコン作業できる高さの台やテーブルも嬉しいですね。社内勤務の会社員、本当に長時間座りすぎていますよ…。
QCDの観点
僕はメーカーに勤務した経験がありますが、製造業はQCDという言葉に特に敏感かと思います。QCDは、品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)の英語の頭文字をとったものです。生産活動では特にQualityを確実に満たしこのQCDを実現しているはずです。
翻訳された資料も依頼人へ納品する成果物です。僕の解決案もこのQCDの点で整理してみました。
Quality
- 翻訳支援ツールの利用で、社内翻訳の表現に統一性が生まれる
- 管理職(依頼人)の翻訳内容確認で、公表前の誤りを見つけやすく、翻訳担当者へ翻訳の評価をできる
Cost
- 翻訳支援ツールの使用料が発生する
- 翻訳作業の時短による残業代の削減ができる
Delivery
- 翻訳支援ツール使用による作業時間の短縮
- 管理職(依頼人)の翻訳内容確認の時間が増える
- 翻訳内容の公表締め切りに間に合いやすくなる
要約すると、
作業しやすい環境作りや翻訳支援ツールを使うのに新しいコストは発生するけど、その分、翻訳作業の時間が短縮できて翻訳品質も良くなるし残業代が減って総合的にはコスパも良いと思います!着手しませんか?
という案です。
社内で翻訳対応をし続けるつもりなら、現状のやり方の改善もし続けるべきですからね。
個人的な思い
語学力と知識
解決案の中で基礎英語や関連情報のインプットは大事であると挙げました。翻訳環境の整備をしておきながら、その環境を使用する立場の翻訳担当の社員の言葉と知識のインプットが低すぎると環境整備の意味がなくなります…。ここは注意点です。確かに、メーカー勤務であっても部署によっては製品との関わりが少ないこともあるあるんですよね…。それでも、言葉と知識のアップデートは継続です。
翻訳をする人がその内容の専任であれば一番いいのですが、そうとも限らない実情…。
翻訳会社への外注化
社内の翻訳環境改善をしながらも、翻訳会社へ外注化を検討し始めるのもいいと思います。(適正や個人差はもちろんありますが)業界知識や製品知識があって、社内の流れを把握していて外国語ができる社員がいたら他の業務にも活用したい!と管理職の立場なら思うのではないでしょうか。その時に、翻訳作業が足枷のようになるくらいなら外注化をするのが社内的には良いでしょう。翻訳作業はプロへお願いを。
「英語ができる」の思いこみ
以前からお伝えしていますが、「英語ができる」が「どんな内容のものでも英語で理解できる」と超拡大解釈をされることが少なくないです…。「逆にあんたは日本語で全部理解できるんかああ!?」と突っ込みたくなるくらいです。できるものとできないものはあります。反対に、こういったことに理解力のある人が多い会社は今後人気が出てくるでしょうね。
まとめ
翻訳担当の会社員が抱える悩みと解決案を挙げてみました。
会社内で翻訳作業を依頼したり複数人が対応したり場合は、何かと不都合なことが多くなりがちです。
作業の効率化や自動化、外注化を検討して快適な労働時間を作りましょう。