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独身で部屋を借りるのは困らなかったけど、同性カップル2人で暮らす部屋探しになると困ることが多かった。そんな声を聞くことがあります。超少子高齢化の日本での住居探しをサイドFIREの視点で考えました。
本記事の内容とベネフィット
- サイドFIRE目線で同性カップルの家探し
- 法整備が遅い日本、自分達を守るのは自分達
筆者プロフィール
備考
- 2021年8月現在の法制度を参考にしています。
- 本記事でのカップルは「男と男」のゲイカップルを想定しています。
- 現行制度を調べてはいますが、専門的な知識が多いので解釈の間違いがある場合がございます。ご了承ください。
参考書籍・サイト
- 南和行『同性婚 私たち弁護士夫夫です』(祥伝社、2015年)
- 小島妙子『内縁・事実婚・同性婚の実務相談 多様な生き方を支える法律, 社会保障・税金』(日本加除出版、2019年)
- 今井多恵子 坂和宏展 市川恭子 安井郁子 竹下さくら 『事実婚・内縁 同性婚 2人のためのお金と法律 ~法律・税金・社会保険からライフプランまで~』(日本法令、2015年)
- 東京都弁護士会 性の平等に関する委員会セクシャル・マイノリティ プロジェクトチーム『セクシャル・マイノリティの法律相談 LGBTを含む多様な性的嗜好・性自認の法的問題』(ぎょうせい、2016年)
- マネー現代 「LGBTは家も借りられない」はどこまで本当か…当事者のリアル
要点:基本は賃貸、終のすみかに中古一括購入か
基本は賃貸暮らしでいいかなあと思います。僕が東京暮らしで「持ち家じゃなくてもなんら問題がない」という価値観を持っていますので笑
「若いうちなら賃貸でもいいけど高齢になったら部屋を貸してくれる大家さんなんていないよ〜」といった噂も聞きます。超少子高齢の日本でそんなことを言っている大家さんはこれからは生き残るの難しそうな気がするんだが…。仮に30代の僕が60歳になるときにも本当にこの噂が当てはまるなら購入するかと思います。中古マンションでしょうね。
理由:若いうちは固定化されない方が良いかなあ
「海外に毎年2週から4週滞在ができるライフスタイル」がこのShohey Blogの目標です。日本だけではなく海外での新しい体験をしていくうちに、どんな家で生活したいか気持ちも変わっていくだろうから、60歳になる前に購入はしなくていいと思っています。
そうは言っても、結婚したご夫婦(異性カップル)と違って同性カップルの住居探しは難しいことが多いと言われています。民間の賃貸アパートなら住めるかどうかは大家さんの価値観次第でしょうね。「男同士で暮らすのはNG」と言われればそれまでです。さらにサイドFIREなどといった生き方をしたら昔ながらの大家さんには「?」でしょうね笑
2021年8月現在、選択肢が無数にあるわけではないのは認識しておくべきでしょうね。同性カップル(LGBT)フレンドリー、かつ、フルタイム労働者ではない人にも部屋を貸してくれるかどうかの物件探しです。
具体例:同性カップル向けの賃貸と持ち家探し
ここからは僕が同性カップルでお互いにサイドFIREなら、物件探し・物件購入をどのようにするかについてです。
前提
- 年齢30代
- 関東圏に在住
- 男・男の同性カップル(ゲイカップル)
- それぞれ運用資産1,500万円のサイドFIRE
(わざわざ公に「俺らは同性カップルなんです!」なんて言う必要ないので、この前提に似たカップルさんは日本でそれなりにいるような気がします。)
カップルの二人とも資産運用からの収入として配当利回り4%の配当収入があるとします。想定ではそれぞれの運用資産額は1,500万円ですが、1,000万円から2,000万円なら年間配当収入は下表のようになる想定です。
一人の場合
運用資産 | 配当収入(利回り4%) |
---|---|
1,000万円 | 40万円 |
1,500万円 想定はここ! | 60万円 |
2,000万円 | 80万円 |
二人の場合
運用資産 | 配当収入(利回り4%) |
---|---|
2,000万円 | 80万円 |
3,000万円 想定はここ! | 120万円 |
4,000万円 | 160万円 |
サイドFIREの基本は「50%労働収入、50%資産収入」です。上記の資産運用以外はアルバイトや個人事業主の仕事などで年間60万円から100万円を稼ぐとします。
同性カップルの年間収入(想定)
自分1人 | パートナーと2人 | |
---|---|---|
労働収入 | 60万~100万円 | 120万~200万円 |
配当収入 | 40万円 | 80万円 |
合計 | 100万~140万円 | 200万~280万円 |
賃貸
賃貸物件をただ探すのではなく「同性カップルOKの賃貸物件」を探すのが切り口とします。普段の生活でセクシャリティなんていちいち言うものではないですが、真正面から同性カップルとしての物件探しです。
2021年8月現在、(僕が調べる限り)制度的に差別なく同性カップルが一緒に暮らせる賃貸物件探しは下記の二つでした。
SUUMO for LGBT
緑色のマリモのキャラクターでお馴染みのSUUMOはLGBTフレンドリーを挙げている物件を掲載しています。賃貸物件探しの中から条件検索で「LGBTフレンドリー」を選択してあとは条件に見合うかどうかです。
なおLGBTフレンドリーの物件はものすごくおしゃれな物件ということではなく、あくまでも「ウチはLGBTフレンドリーだよ」と大家さんが言っている物件です。イメージを膨らましすぎないようにしてくださいね笑
URハウスシェアリング制度
千葉雄大さんと吉岡里帆さんでお馴染みのCM「URであーる」です。URと聞くと団地っぽいものをイメージするかと思いますが、とりあえずはそんなイメージで大丈夫です。
独立行政法人都市再生機構(としさいせいきこう、英: Urban Renaissance Agency、略称: UR)は、大都市や地方中心都市における市街地の整備改善や賃貸住宅の供給支援、UR賃貸住宅(旧公団住宅)の管理を主な目的とする独立行政法人(中期目標管理法人)。国土交通省所管。愛称は略称を冠した「UR都市機構」(ユーアールとしきこう)。
参照:Wikipedia
そのURではハウスシェアリング制度がります。これは「親族以外の人たちで一緒に部屋を借りていいよ」という制度です。
■ハウスシェアリング制度とは?
単身者同士が互いに協力し合って共同で生活したいという居住ニーズが実現できるよう、単身者同士で 同居いただける制度です。 ※ご入居後に、新たに入居者を追加すること、または、ご入居された方が別の方と交代することはできま せん。ただし、ご契約中に一部の方が他の入居者の方を残して退去することは可能です。
参照:UR賃貸住宅
同性婚がいまだに認められていない日本では、同性カップルは法的に「親族」としては扱われません。法的には「他人」のカップルも共同で借りることができるのがこのハウスシェアリング制度です。
申し込みの条件は色々ありますが、サイドFIRE目線で気になることは「収入を証明する書類」です。UR賃貸住宅に申し込む人の平均月収額がURの定める基準月収額以上である必要があります。
仮に毎月の家賃が6万円なら4倍の24万円以上を月収として得ている必要がでてきます。このサイドFIREカップルでは平均月収24万円を超えるのは難しいので別の証明で対応が必要になると思われます。代わりに「貯蓄基準制度」を検討します。
毎月の家賃が6万円なら100倍の600万円を円預金で持っていればOKのようです。運用資産1,500万円とは別に600万円の預金(合計資産2,100万円)があれば申し込み可能になりますね。
基準月収額に満たない場合は、入居できないの?家賃等の一時払い制度(家賃等の前払い)や貯蓄基準制度(月額家賃の100倍以上の貯蓄額)をご利用いただくことにより、基準月収額の要件に代えることができます。
また、親族との収入の合算(基準月収額や基準貯蓄額が1/2以上ある場合)や、高齢者、障がい者、父子母子世帯、学生の方は、扶養等親族が基準月収額や基準貯蓄額を満たせば申込むことができる場合がございます。詳しくはURの店舗にお問い合わせください。
IRIS
株式会社IRISもLGBTの二人暮らしを支える貴重な会社さんです。取扱物件は東京23区が中心なので、サイドFIREのShohey Blogの目線ではご紹介のみに留めます。
購入
僕が同性カップルで物件を購入するなら高齢になったときだと思います、若いうちに購入すると「動きたいけど動けない気持ち」が強くなるんじゃないかなあ。購入をするなら数百万円で買える中古マンションですね。SUUMOやURから探してみると思っています。素人考えかもしれませんが中古マンションの購入なら下記の2点を特に注意したいです。
- 大規模修繕がちゃんとされているか
- 適切な修繕積立金が入居者達から回収できているか
昨今はリノベーションされた部屋が注目されています。きれいですよね。しかし、内装だけならいくらでもきれいにできちゃいます。築年数が30年以上のマンションで僕が気になるのはマンションの外壁や部屋につながる水道管などの状態(マンションそのものの健康寿命)です。
なお定職に就いていないであろうサイドFIREな人は住宅ローンを組むのは難しいかもしれません。その場合、マンションの買い方は現金一括購入のみです。僕なら建物が丈夫な中古マンションを一括現金購入しリフォームをします。これらの総額を1,000万円以内に抑えられればOKかと。
同性カップルならではの注意
同性婚が認められていない日本では、同性カップルが家の購入に注意が必要だと言われています。法的に夫婦ではないので収入を合算して住宅ローンを組むことはできませんし、法的に親族ではないので名義人がなくなった後にパートナーに家が自動的に相続されることもありません。
30代であっても不慮の事故に遭う可能性はあります。もしもの時に備えて遺言は残すべきでしょう。同性婚という法的に2人を守るものがないので、公正証書遺言を用意しておくことを互いに話してみてください。
結論
海外旅行好きなサイドFIREなら「50%労働収入、50%資産収入」で自由時間と柔軟性を重視します。価値観的にも60歳以下なら賃貸で大丈夫だろうと思います。
サイドFIREは大きな「年収」は持っていない場合がほとんどのはずです。物件購入を考える高齢の時期であれば、数百万円ほどの預金を用意するために運用資産を売却することも今のうちに覚えておきたいですね。
まとめ:柔軟なライフスタイルが可能な賃貸が基本かな
僕なら日本での住宅購入はかなり慎重になります。価値観や体力も年々変わるはずなので、終のすみかと覚悟するまでは賃貸物件がいいと予想しています。心にも体にも住宅にも柔軟性を!