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タイトルの通り、田中靖治さん『会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ — 500年の物語』(日本経済新聞出版、2018年)を読み終えました。この本は前からずっと読みたくて図書館での長〜い予約待ちを経てようやく読むことができました。
僕のブログを読んでいる読者は、海外好きやお金に関する基礎知識を持つ人が多いはずです。この本はそんなShohey Blogファンにもおすすめできる一冊です。まだ読んでいない方は手にすることをおすすめします。
本記事の内容とベネフィット
- 『会計の世界史』を読んでの感想
- 日商簿記3級を学んだ先を見据えられる
筆者情報
2020年11月時点現在、フリーランスとして日々の仕訳は自分で行いつつ日商簿記3級を勉強中です。簿記や会計が身近なものだからこそ本書がより楽しく感じました。
備考
- 本記事は、『会計の世界史』の要約ではなく感想です。本の内容は自分で読むことを強くお勧めします。
- 簿記に関する知識は日商簿記3級レベルです。それ以上の知識をお持ちの方で本記事に気になる点がありましたらコメント等をください。
『会計の世界史』を読んでの感想
要点
僕のように自営業者や日商簿記3級を学んでいる人には特に面白いと感じられる一冊です。しかし、簿記の知識を使って作る決算書だけでは表しきれないものもあるよねえ、と改めて思いました。
理由
本書は読みやすくわかりやすいのでお勧めです。堅苦しい会計の解説ではなく、ヨーロッパから始まる会計の歴史が物語風に展開されていきます。なので、学生時代のカタカナ暗記ごっこの世界史の授業とは全然違います。ご安心ください。
しかし、出来上がった決算書は会社の全てを表しているわけではないです。例えば、下記のようなことは決算書からは読み取れないですよね?
- 他部署との連携のしやすさ
- 社員の満足度やストレス度合い
- 少数の優秀な社員さんへの依存度
決算書はお金の収支を社内外へ見せるための資料です。なので、当然ですが、上記に挙げたようなお金で表せない内容は決算書からは読み取ることができません。
なお、決算書から感じられる社員の存在は「給料」という経費からです。決算書での「給料」は会社から出ていくお金です(社員に払うこと=会社から出ていく)。決算書上だけなら「給料を削減すれば経費削減だ〜」と見えてしまうわけです。
しかし、その会社で働いている人からすれば、黒字なのか赤字なのかもさることながら日々の仕事でやりがいを感じるかの方が大切ではないですかね?
具体例
なんとか黒字経営ができている企業の経営者は「あぁ、よかった」と思っている一方で、社員として働く人たちからは不平不満が聞こえてくることもあります。
- 肩書きだけ管理職になってしまってうまくチームを回せない上司
- リモートワークができる環境なのに未だに全社員を出社させている
- 正社員契約の人が派遣社員契約の人に業務も責任も押し付けている
2020年11月現在、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で働き方を変えざるを得なくなった人は多いでしょう。しかし、変化する環境の中で変化に対応しきれていない会社もよく耳にします。そこで働いている人には相当なストレスでしょう・・・。
僕は『会計の世界史』を読んでいく中で、基礎会計知識はやっぱり大切だなあと思いつつも決算書が全てではないなあと会社員時代の感覚を思い出しました。
とは言っても、それなりに従業員数が多い会社を自分が満足する状態に変えるのはほぼ不可能かと思います。それなら、自分で自分の会社を作った方が早いだろうなと思っちゃいますね。マイクロ法人ってやつです。
余談
そもそも僕はドラゴンクエストにハマってその世界観の元となっているヨーロッパにもハマった人間なんです。なので、ヨーロッパから発展していき現代の僕らにまでつながる物事を知ることは楽しいわけですよ、一石二鳥みたいで。
歴史を学ぶ時は現代とどう繋がっていくかが分かりやすいと興味を持つ人が増えるんじゃないですかね?「暗記で覚える歴史」が面白くないのはそのせいかと。
まとめ
『会計の世界史』は簿記や会計の歴史を物語風に読むことができるおすすめの一冊です。海外好きや簿記を勉強中の人は特に!それと同時に、決算書だけが会社の全てではないなあと感情面のことも考えさせてくれる良い本です。
気になっちゃった方は是非!